小学校3年生のときに、「これからはパソコンの時代だから」と、母が僕専用の端末を買い与えてくれました。それ以来パソコンにハマり、できるようになったことを祖母など身近な人に教えるのも大好きでした。大学卒業後は医療機器を作るメーカーの組み込み系エンジニアとして働いたのですが、そこはかなりハードで、休日出社も当たり前の環境。体がついていかなくなり、転職を考えたときに浮かんだのが、小さな頃から好きだった「パソコン操作を教える」仕事でした。転職後、実際に講師となってからは、できるだけ専門用語を使わないように心がけています。「マウスをクリック」ではなく、「矢印を上に持っていってボタンを押す」と分かりやすく教えることが大切。エンジニアをしていただけに、ポロッと専門用語が出てしまいそうになることもありますが、そんなときは自分が初めてパソコンに触った小3の頃を思い出し、初心に返るようにしています。

この仕事では日々たくさんのお客さまと出会うことができ、さまざまな刺激をいただいています。現在24歳の僕にとっては、祖父母のような年齢の方が生徒さんとなるケースも少なくありません。おばあちゃん子として育った僕は、無意識のうちにフランクなコミュニケーションを取ってしまいそうになることも……。「気さくに話してくれてうれしい」と感じてくださる方がいる一方で、「若造が偉そうに」と不快に思う方もいるはずです。それを自覚してからは、どんな方に対しても丁寧に接し、言葉遣いや立ち居振る舞いに気をつけるようにしています。生徒さんにパソコンを教えながら、僕自身は人としての基本的で大切な力を学ばせてもらっているのかもしれません。それとは対照的に、というと変ですが（笑）、上司や先輩とはフランクにコミュニケーションを取り、どんなことでも相談できる風土なので、悩みごとは溜め込まずにすぐに解決できています。